March 30th, 2011

2011年1月30日顕現節第5主日聖餐礼拝説教「あなたはこの世の塩」”You Are The Salt of The Earth”岸野豊牧師

牧師説教, by admin.

        マタイによる福音書5章13節
「あなたはこの世の塩」”You Are The Salt of The Earth”
アメリカで有名な新聞に出るコミックにスヌーピーとう犬の漫画があります。この漫画の中での主人公であるCharlie Brown は或る日、女友達のPeppermint Patty からこう言われました。「私ね昨日クラスの授業中に先生から態度が悪いと言われて、校長先生のところに呼ばれたの。それってあなたの所為よ。」「何で僕の所為なの」とCharlie Brown。「だってCharlie Brown, あなたは、私にいい影響を与えていないからよ。」
さて、それは理屈ぽい言い方かも知れませんが、確かに私たち一人ひとりはこの世の中で他の人によい影響をもたらす者になってゆくことを求められているのです。
今日の福音書はイエス様に従う者はこの世の塩となりなさいと言う忠告です。これは
イエス様自身が説教なされた山上の垂訓から出てきた言葉です。イエス様は彼に従ってゆく人たち、イエスさまの弟子といわれる者は、みんなの中でPositiveな影響を他の人々に与える者となりなさいと言うことです。
その福音書の言葉をもう一度聞いてください。「あなた方は地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれ、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。」
私たちイエス様に「あなたは此の世で塩となりなさい」と言われる理由はなんででしょうか?
塩が大切なものであることは皆が知っています。塩は色々な使い道がありますが、イエス様の時代に、塩はまず最初にお金の代わりに使われていたことを知ってください。ローマの兵隊たちは給料をある時はコインで、ある時には塩で受け取っていたのです。英語で給料はSalary ですが、その言葉の語源はラテン語のsalarium、つまり塩です。塩がお金の代わりに使われていたのです。いまでこそ塩はどこでも手に入いるし、塩はそん塩と言えば、食卓に置いてある小さなガラスのシェイカーが目に浮かびますが、ごく当たり前の必需品であり私たちはあまり塩のことを毎日考えることはありません。然し私たちの生活は塩なしでは成り立ちません。考えてみてください。日本で終戦直後、食べ物が無くてひもじい思いに駆られたこと覚えている方、この中に何人もいるはずです。
私の父の家族は東京で終戦直前に落とされた焼夷弾で1945年に家が全焼しました。それは父の家だけでなく東京の1/3が焼け野原になってしまったのです。お米なんてそんな贅沢なものは無い。やっとかぼちゃを育てて、その茎まで食べた時代です。何を食べても味が無かった。せめて塩があったらなと思ったと、そんな話しを母から小さい時よく聞きました。
私は塩holicであまり塩分を取りすぎると血圧が上がるよと何時も注意されていますが、子供の時からご飯に醤油をかけて食べるのが大好きです。ところで、最近、Wendy というハンバーガーのお店で、ハンバーガーとフレンチ・フライを食べた時、これまたいつもと変わってすごくおいしかった。その理由はそのお店で使っている塩が海水から作った塩で、これがまた美味しいのです。
塩は食べ物を保存する力を持っていることは皆さんのご存知のとおりです。冷蔵庫の無かった時代には肉や魚に塩を振りかけておくと腐らない、あるいは腐りにくいと言うことです。桃屋の江戸紫、梅干のおにぎり、塩気の多いものですが、思っているだけでよだれが出てきます。
クリスチャンは長い歴史の中でこの世の塩であるといわれます。それは何かと言うと世界の至る処で、イエス様に従うわたしたちはこの世の中でPositiveな影響を与えてきたからです。
その一番とも言われるキリスト教の貢献、contribution は一人ひとりの人間の命の尊重です。孤児院、老人ホーム、病院、赤十字という施設はキリスト教の中から出てきたものが沢山あります。例をあげて言うならば、東京にある聖路加病院は英語で、St. Luke Hospital ですがこれはキリスト教の精神を持って始まった有名な病院です。
同じようにキリスト教は人間教育、人格育成をイエス様の愛に根ざした学校、大学の設立に力を入れたのです。この国で、叉日本でも、長い歴史をもった多くの私立の大学はクリスチャンUniversityが多いのです。Harvard University は Unitarian 教会の中で、Princeton University もPresbiterian 教会によって設立されました。聞きところによるとアメリカの私立の大学の 65%も、その歴史が教会によって始められたといわれています。Los Angeles で有名な USC, (University of Southern California) もメソジスト教会によった始められた大学です。この大学のマスコットはいまこそTrojan (トロイの勇士)ですが、昔はFighting Methodist (戦うメソジストの勇士)だったのです。
日本でもキリスト教の精神に基ずいて始められ大学がProtestant派の教会の中で56校、カトリック派の中で20校あります。其れがどんな大学であるか、例を挙げるなら、同志社大学、明治学院、九州ルーテル学院、ルーテル学院、国際基督教大学、玉川大学、青山学院、聖心女子大学、東京女子大学、津田塾大学、西南学院です。皆さんのほかに知っている日本のキリスト教学校、特に其れが皆様の母校でありましたなら、今教えて下さい。私の両親は私にキリスト教の精神を持った立教大学、そして弟の高志に青山学院に入れたことを神様に感謝したとよく言ってました。
ところでアメリカの教会が一番燃えていた時代はいつだったか知ってますか?それは第二次世界大戦の後1946年から1970年にかけてです。アメリカの中で今ある教会の40%がこの時代に築かれたのです。このLutheran Church of Resurrection も1956年に始まったのです。同じ1946年から1970年にかけて、アメリカの教会は世界中の国々に宣教師を送り出したのです。私の両親もイエス様を救い主として受けルーテル教会のメンバーとなったもこの時です。私の人生の中に神様を愛する牧師先生、宣教師の方々、両親の信仰、それらが此の世の塩となって私を導いてくれたと信じます。
皆さんの中にも皆さんをイエス様への信仰に導いた何かの経験、福音の言葉、あなたを温かく見守ってくれた信仰の友、信仰の先輩がいるはずです。それら全ての人はイエス様の愛の心を持ってあなた達に人を愛する、人に愛される喜びを教えてくださったのです。
イエス様に従う、塩と呼ばれたわたし達は私たちの思い、行い、祈りを持ってまだイエス様の愛を知らない人に、神様の福音を分かち合うことが必要です。
私たちはイエス様から戴いた恵みによって生かされている喜びを、まだイエス様を知らない人たちに言葉で語ることだけでなく、私たちの生活の態度の中で現して行くのです。
最後に皆さんの中で聴いたことがある、Mahatma Ganhdhi 、50年も前のインドの首相が行った言葉を紹介しましょう。
インドに宣教師として宣教していた人がGanhdhi に聞きました。「キリスト教がインド人になじめない一番の理由はなんでしょうか?」Ganhdhi さんはこう答えました。「その理由はクリスチャンです。私は聖書を素晴らしい人生の教科書、人間の精神を高める神様からの本だと信じますが、その教えを守らないクリスチャンがあまりにも多すぎる。クリスチャンがクリスチャンであることはその人の態度で表される」と答えたそうです。

それに私はアーメンと答えます。クリスチャンだと言いながら、イエス様の精神、イエス様の人を愛する精神が人生の基本になっていなければ、私たちも塩気のなくなった人間になってしまいます。

もうひとこと言います。イエス様は「わたしたちは皆、地の塩となることができる。」あるいは「あなたたちは地の塩であるべきである」と言っているのではありません。イエス様は今ここで「あなたは地の塩である」と宣言されているのです。そのことを心にこめて私たちの毎日の生活が神様の御心にかなうものとなりますように祈ります。
アーメン。

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