マタイによる福音書5章1-12節「本当の幸せ」 “True Happiness”
私達の父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなた方の上にあるように。アーメン。
私は昨日まで家内の実家の Pennsylvaniaにナンシーのお父さんの一周年忌の礼拝に行ってきました。家内は7人兄弟、姉妹の一人です。それぞれの家族が孫たちもふくめて22人集まり、お墓参りをし、その次の日にデラウエア州のあるRehoboth Beach に5日間行ってきました。ナンシーのお母さんは今独り暮らしですがやはり、家族でいることがとても楽しい、でも連れ合いのご主人が先に召されたことに慣れるまではしばらく時間がかかるでしょう。
私の母はもう自分の家で生活ができなくなり、父と共に老人ホームに入ってもう8年経ちます。「お父さんこのごろ見てないけどどうしたんでしょう」とこの2月に会いに行った時、ちんぷんかんぷんのことを言います。弟も住まいは大阪なので母と会う機会も余りないようですが、私の従兄弟の世紀子さんが週に2回母を訪ねてくれているのに感謝します。教会の牧師さんと奥さん、婦人会の友達が良く母を見守ってくれているのを知って本当に感謝です。私の母は記憶力がずっと落ちていますが、母が6歳の時、腸チフスで亡くしたお母さんのことを子供に戻ったように尋ねてくる人に語るのです。母にとって自分のお母さんを6歳でなくした悲しみが今でも続いているとは、いくら記憶力が落ちていると言われても人間の頭と心は本当に複雑で、それを作られた神様は本当に偉大な方です。
前置きが長くなりましたが、今日の聖書の箇所はマタイによる福音書の5章1-12節で、イエス様が山上の垂訓の中に説いた福音です。これは英語ではBeatitudeと呼ばれその意味は、Supreme Happiness, 最高の幸福です。人間は誰でも、「幸福の追求」を人生の中で求めて生きるのではないでしょうか。
私がまだテキサスのダラスの教会で牧師をしていた時、友達の会員から新しく出版された本をいただきました。この本について3年ほど前に話したことがありますが、Robert Fulghum さんという人の書いたこの本は、題名が“Everything you want to know, you learned in Kindergarten” という、アメリカのベス・セラーになった本で、私達が何かをする時、どのような生き方をするべき、それらのすべては、すでに幼稚園で学んでいる時に分かっているというのです。その幾つかを例を紹介しましょう。
Share everything. すべてのものを分かち合いなさい。
Play fair. 公平な精神を持ちなさい。
Don’t hit people. 人をぶったり、蹴ったりしないこと。
Put things back where you found them. 使ったものは元に返すこと。
Clean up you own mess. 自分でちらかしたものは自分でかたずけなさい。
Don’t take things that aren’t yours. 自分の物でないものを取って自分の物としない事。
Say you’re sorry when you hurt somebody. 誰かを傷つけたら、「ごめんない」とい言いなさい。
Wash your hands before you eat. 食事の前に手を洗いなさい。
Flush. トイレで、おしっこ、うんこの後、水を流しなさい。
Warm cookies and cold milk are good for you. 暖かい、 出来立てほやほやのクッキーとミルクはおいしいよ。
Don’t speak when you are mouthful. 口の中がいっぱいの時、話さないこと。
Live a balanced life – learn some and think some and draw and paint and sing and dance and play and work every day some. バランスの取れた生活をしましょう。それは、毎日、何か習いましょう。何か文を書いたり、絵を描いたり、歌ったり、ダンスをしたり、お母さんのお手伝いをしたり。
Take a nap every afternoon. お昼寝をするのはいい事。
When you go out in the world, watch out for traffic, hold hands and stick together. 外に出る時、交通状態を良く見て、手をつないで、一緒になって道路を渡りましょう。
Be aware of wonder. Remember the little seed in the Styrofoam cup: The roots go down and the plant goes up and nobody really knows how and why, but we are all like that. 素晴らしいことがおこっていることに気がつくように。たとえば、スタイロー・カップの中の土に埋めた種。根は土の中に、芽は土から出て、上に上ってくる。誰がそれを教えたんでしょうか?
Gold fish and hamsters and white mice and even the little seed in the Styrofoam cup –they all die. So do us. 金魚もハムスターも白いねずみも、スタイロウ・カップに中の種から出た芽もいつかは死ぬか、枯れてしまう。私達にもこの世での人生の終わりの時がいつか来るのです。
さて、これらの事を聞いて次のイエス様の言葉を思い出した方がいらっしゃるでしょう。マタイによる福音書19章13-15節にこう書いてあります。
イエスに手を置いて祈っていただくために、人々が子供たちを連れてきた。弟子たちはこの人たちを叱った。しかし、イエスは言われた。「子供たちを来させなさい。私の所に来るのを妨いではならない。天の国はこのような者たちのものである」。
皆さんに質問があります。皆さんの中で、私達が行ったこと、自分勝手の生活をしてきた中で、他人のことを省みることなんてとんでもないと考えたことがありますか?自分中心の行き方を批判しているのではありません。私達一人ひとり、自分がかわいいのは確かです。しかし、そんな私達にイエス様はこう言ってくださるのです。
「あなたは、自分がどれだけのよい事をしたから私に近づくことができる」とお思いですか。自分の業績をつむことによってのみ私の所に来ることができるとお思いでしたら、その考え方を捨てなさい。私の所に近づきたいと思うあなたの心は分かります。私の所にきたい人は私に、自分の寂しさ、悲しみ、惨めさをあなたの祈りの中で語りない。忘れないでください。私はあなたを裁くためではなく、救うために来たのですよ。私は赦されたいと思うあなたを必ず赦します。心の重荷を軽くしてあげましょう。私の福音を受け取ることのできるあなたに私のとこしえの愛を分かち与えます」と。
もし幼子が、「イエス様、私のお祈り聞いてください」と祈れるのなら、私達、神様に賛美の祈り、また私をあなたの胸に抱きしめてください、私にあなたの愛を示してください」と祈れるはずです。私もこの説教を今書きながら、皆さん一人ひとりを心に留めて祈っているのです。それが牧師が羊飼いようにさまよう羊を愛し、面倒をみてあげることなのです。百匹の内のたった一匹の羊が迷子の時も、その一匹を探し求める神様、この神様を信じることのできる私達は幸福です。
最後に今年の修養会に来てくださった中村先生の教会からのニュース・レターに書かれた、Smile という題の文章を紹介しましょう。聞いてください。質問があり、その答えになる言葉は何でしょうか。
私達を悩ますものとは・・・・・心配ごと
最も素晴らしい喜びとは・・・・・人に何か必要なものを与える、わかちあうこと
最も悲しい出来事とは・・・・・自尊心、Self-respectをなくしたこと
最も満足できる仕事・・・・・人、他人を助けること
最も見苦しい人間の特徴・・・・・わがまま
大きな問題を乗り越える時の敵とは・・・・・不安、恐れ、心配事
一番効果のある眠り薬とは・・・・・Peace of mind
人生の中で一番強い力とは・・・・・愛、Love です
世界一番のコンピュウターとは・・・・・私達の脳みそ
これがなくして生きてゆけないものとは・・・・・希望
世界で一番怖い武器とは・・・・・舌です
一番力強いCommunicationとは・・・・・祈り
私達の惹かれる精神とは・・・・・人が人生の中で示す、いい意味での熱狂的な思い、英語で言う、Enthusiasm です。 ところでEnthusiasm という言葉は In theos, 神様がそこに宿る力、精神状態を言うのです。
Happiness、幸福とは行き着くところをいうのではありません。それは今のこの状態を神様に感謝することのできる、神様私達をいつも愛してくださってありがとうと言える心構えを持つことではないでしょうか。神様にいつも愛されて生きている私達は神様、イエス様からいただいた愛をみんなと分かち合う、それができるところに神の国が私たち自身の目で見ることができるのです、感じられるのです。
ですからイエス様の私達に下さった「お互いを愛し合いなさい」という言葉は私達が毎日の生活の中で実行しなければならないキリスト者としての戒めなのです。アーメン。