「どうして聖霊の働きだってわかるの?」ヨハネ16章12-15節
父なる神、子なるイエスキリスト、そして聖霊による恵みと平安が集まりました皆様の上に、そしてすべての公同の教会に連なる人々の上に顕れますように!
「聖霊が働いてそのようなことが起こりました。」とだれかが言われたのを聞いたことがあるだろうか? 聞いたばかりではなく、何かが起こって「その時、聖霊が働いた。」と、ご自身で語ったことがあるかもしれない。
しかし、いったいどうして、何かが起こったことが聖霊の働きだと言えるのだろうか? 例えば、宝くじにあたったとして、それが聖霊の働きだと言えるのか? 或いは、交通事故がおきても助かったら、それが聖霊の働きだと言えるのだろうか? 先週はワシントン州で橋が崩落する事故が起こったが、亡くなった方はいなかった、聖霊の働きと言えると思うが、仮にどなたかが亡くなったら、もう聖霊の働きとは言わないのか? 人々が聖霊の働きだというかどうかは、ケースバイケースだと思う。
今日は三位一体主日であり、神学的な観点から、その聖霊の働きが、神とキリストの思いと一致しているような場合は、それは聖霊の働きだと言えるのかもしれない。 しかし、三位一体論から、そのような結論を述べたところで、難しい話になってしまいそうだ。 何年も前の話だが、40年以上、牧師をしてきた方が、それほどの経験のある方でも、三位一体を説明するのはとても難しいと言われたのを聞いたことがあり、今日のメッセージでは敢えて、三位一体という言葉を使わないようにしたい。
願わくは、今日与えられた福音書箇所、ヨハネ福音書から、「聖霊の働き」と言える場合はどういう場合なのか、導き出せればと思う。 ヨハネ福音書といえば、14章から16章は、イエスの最後の講話と呼ばれる。 翌日には十字架に架かるイエスが、使徒たちに、いろいろな話をしたところ。 この三章だけで、イエスは、将来の聖霊降臨の約束を4回語っている。
その4回の約束のうち、3回は、イエスは聖霊という言葉ではなく、真理の霊という言葉を使っている。 今日与えられた16章も聖霊が弟子たちに来ることを約束していると思う。 しかし、ここでも、イエスは聖霊という言葉ではなく、「真理の霊が弟子たちにことごとく、真理を悟らせる。」という言い方をしている。
ここで、真理の霊という言葉のなかの「真理」という言葉について掘り下げたい。日本語では真理は文字通り、「真」という文字と理論の「理」という文字からなっている。 ギリシャ語では、真理は「アレッセイア」という言葉が使われるが、そのもともとの意味は、「隠すところがない。」つまり「本物」とか「出現、顕れる」という意味を持っている。 また、ヘブル語なら、「アメト」という言葉でアルファベット表記をするなら「amt」、それはもともと「amen: アーメン」と同じで、「確かに」とか「完全に信頼できる」という意味を持っている。
そこで、真理の霊とイエス・キリストが述べているのは、「信頼できる確かに顕れる霊」という意味合いを含んでくる。 さて、イエス・キリストは、その真理の霊がどのように働くと言っているのだろうか?
12節から15節の中の、とくに13節から、「この全面的に信頼できる真理の霊が現れて、その霊の働きは、私たちに、真理を悟らせる」ということ。 二つ目の「真理」という言葉は、イエス・キリストそのものであるともいえる。 ヨハネの14章前半では、イエスご自身が、「私は道であり、真理であり、命である。」と語っておられた。 真に顕れる、100パーセント信頼できる霊が、私たちを真理そのものであるイエス・キリストに近づける、あるいは結びつける働きをするということ。
さて、本日の質問である。聖霊の働きかどうかを知りたい場合は、「その働きが、だれかをイエスに近づくような働きをしているかどうか」という質問をしてみるのが良いと思う。
宝くじがあたった場合は、それが聖霊の働きと言えるかどうか?という話をしたが、もっと大切な質問は、その宝くじがあたったことが、その方をよりイエスに近づけるように働いたかどうかをチェックする必要がありそうだ。
或いは、例え大きな事故があっても、命が助かった場合、聖霊が働いたいえることはあると思う。 しかし、たとえ些細な事故で、だれかが亡くなった場合でも、聖霊が働いていたということはあると思う。
これは1947年に長崎県の時津町というところで本当に起きた事だが、ほとんど満員の小さなバスが、急な上り坂の途中でエンジンが止まってしまった。 運転手はブレーキをかけるが、運悪くブレーキも故障。 バスは後方に動き出してしまった。 車掌の鬼塚道男さんはバスを降りて、石を置くが、その石をバスは乗り越えてしまった。
バスの後には、30フィート以上のがけが控えていた。 鬼塚さんは、バスの下に飛び込み、自らが車止めになる。彼のバスに乗っていた人々を助けようとする情熱的で私心の無い行為が、バスを止めた。 バスに乗っていた30人あまりの乗客は全員無事。 鬼塚さんはその後、病院に運ばれたが亡くなった。 21歳だった。
私は、鬼塚さんの信仰心があったのかどうか知らないが、確かな聖霊が鬼塚さんに働いていたと思う。たとえ鬼塚さんがこの世の命を亡くすことになろうが、鬼塚青年の死は、ほかの何人もの死を防ぐことになった。明日はメモリアルデーで亡くなった方々を覚える週末。 家族や知人の中に、似たような死を遂げた方を覚える方もおられるのかと思う。 たとえ、似たような例が無いと思われた方がいたとしても、少なくとも、一人、2000年前のお方を思い出されますように。
聖霊、本当に顕れて完全に信頼できる霊はいつもあなたをキリストに近づけ、さらに、キリストに結びつけるように働いている。 その霊に気がつくとき、復活の主にある慰め、癒し、希望、喜びを覚え、そして、あなたの人生にどのような事態が発生したとしても、神の御名を賛美されますように。 アーメン
“How Do You Know When It’s the Holy Spirit” Jon 16: 12-15
May the Grace and Peace of our Father, Son, and the Holy Spirit be revealed to you and all members of Pacifica Synod!
Have you ever heard someone say, “Due to the work of the Holy Spirit, this thing happened.” Not only have you heard it but you, also, might have said it.
However, how do you know that was the Holy Spirit? For example, if you win the lottery, would you say it’s the work of the Holy Spirit? If there is an accident and nobody’s injured, would you say it’s the work of the Holy Spirit and if someone died, would not mention the Holy Spirit? I think whether people refer to the Holy Spirit is on a case by case basis.
This coming Sunday, we celebrate the Holy Trinity. However, today I will try not to use the words Holy Trinity for the rest of my message, because many years ago, a pastor who was an experienced parish pastor, for more than 40 years, said that even after all the time he spent preaching, it was difficult to know the meaning of the Holy Trinity.
So I hope that we can answer the question, “How Do You Know When It’s the Holy Spirit?” by reading through the Gospel given today: The Gospel of John.
The chapters 14 through 16 of John’s Gospel, this is a discourse Jesus taught his apostles on the night before he was crucified. In these three chapters, he talked about the promise of the Holy Spirit four times.
The Gospel given today, is one of the four. However, in three of the four, Jesus did not use the words, the Holy Spirit, but, instead uses the Spirit of Truth. According to the NRSV, that I read a few minutes ago, Jesus said, “When the Spirit of Truth comes, he will guide you into all the truth.”
I would like to talk about the word “truth” a bit more deeply. In Chinese characters, “truth” is expressed by two Chinese characters, one is “real” and the other is “reasoning.” In Greek, the truth is “alletheia,” the original meaning of this word is “not hidden, revealing, real.” In Hebrew, the truth is “amt,” the original meaning is the same as “amen” or “surely, something you can trust completely.”
Therefore, we can understand from these meanings, that the Spirit of Truth is something real and revealing and that you can surely trust.
Also Jesus used the word truth in that sentence again, the Spirit of Truth will guide you all to the truth…. the second word truth includes “the” in front of it…. Jesus also said in John 14, I am the way, and the truth, and the life. Jesus himself is the truth.
So Jesus promises that the revealing spirit that you can trust 100% will guide you to, himself, Jesus Christ. In other words, the work of the Holy Spirit will make you closer to Jesus Christ and connect you to him…
So if you want to know when it’s the Holy Spirit at work, we might ask a better question, whether what happened guided us closer or better connected us to Jesus Christ?
At the beginning of my message, I asked if you win the lottery, will you say that it was the work of the Holy Spirit? I think the more important question is, if you win the lottery, will that fact guide you closer to connect to Jesus Christ?
Another example I mentioned was a traffic accident. I believe, even if someone died from an accident, there are cases we may say that it was the work of the Holy Spirit.
The following is a true story that happened in 1947 (in Nagasaki prefecture) in Japan. A small bus full of passengers, almost 30 people, was climbing up on a steep road. However, when it almost reached the top of the hill, the engine stopped, and unfortunately the brakes failed at the same time. Therefore, the bus was slowly going backward.
The driver (Mr. Onizuka) jumped out of the bus and put a rock under the bus to stop it. However, the bus went over the rock…in 10 feet or so, there was a 30-foot cliff and the bus almost drove over that precipice.
Mr. Onizuka decided to lay himself under the tires to stop the bus from falling. His compassionate, selfless action did stop the bus and he saved all 30 passengers. Mr. Onizuka was later carried to a hospital, but he was dead at 21 years old.
I believe that the Holy Spirit worked through Mr. Onizuka. Even though Mr. Onizuka’s earthly life ended, his death prevented many more deaths.
The Holy Spirit guides you closer to Christ. The real and trustworthy Spirit is always working on you to connect you to the Truth, Jesus Christ. So, that you may always have hope and joy in Jesus and realize that whatever happens in your life, you should praise him. Amen.