5月23日 詩編を読もう:人類の責任 (詩編 8) 牧師:安達 均
5月26日の日曜は、聖霊降臨後の最初の主日で、多くのキリスト教会では三位一体主日を祝う。この時期、与えられている詩編は8編。 三位一体とは、簡単に言ってしまえば、「神とキリストと聖霊が一体である。」という事。キリスト教のとても大切な教えだが、奥が深くあまり簡単に理解できることでもない。そこで、あまりこの言葉に固執することなく、神と人間の関係について理解を深めることが大切だと思う。神と人間の関係を考えるなかで、後に、三位一体についても理解が深まる時が来るように思う。
与えられた詩編を3回繰り返し読んでみよう。
詩編 8編
1: 【指揮者によって。ギティトに/合わせて。賛歌。ダビデの詩。】
2:主よ、わたしたちの主よ/あなたの御名は、いかに力強く/全地に満ちていることでしょう。天に輝くあなたの威光をたたえます
3:幼子、乳飲み子の口によって。あなたは刃向かう者に向かって砦を築き/報復する敵を絶ち滅ぼされます。
4:あなたの天を、あなたの指の業を/わたしは仰ぎます。月も、星も、あなたが配置なさったもの。
5:そのあなたが御心に留めてくださるとは/人間は何ものなのでしょう。人の子は何ものなのでしょう/あなたが顧みてくださるとは。
6:神に僅かに劣るものとして人を造り/なお、栄光と威光を冠としていただかせ
7:御手によって造られたものをすべて治めるように/その足もとに置かれました。
8:羊も牛も、野の獣も
9:空の鳥、海の魚、海路を渡るものも。
10:主よ、わたしたちの主よ/あなたの御名は、いかに力強く/全地に満ちていることでしょう。
どんなことを思われているだろうか? 今日は1節から順番に思いついたことを書いていきたい。
1節は合唱・演奏するにあたっての説明書だが、ギディトというのは、あるきまったメロディの名前だと思われる。
2節の言葉、よく読むと最後の10節が同じ言葉で終わっている。全能の主が全宇宙にもこの地球上にも君臨してくださっているという意味の言葉がこの詩編の最初と最後に書かれ、サンドイッチになった形。サンドイッチの中身は2節の後半の「あなたの威光をたたえます。」という言葉から始まっている。
3節にいきなり、幼子、乳飲み子たちの口(声)によって、神に刃向かう者から守る。と書かれているのは、興味深い。 主イエス・キリストが子供たちを大切にされたこととも関係があるように思う。 この地球もさらに宇宙も、将来にわたって、健全であるために、次世代が生きていける地球と宇宙の環境保全の大切さを呼びかけらているように感じる。
4節の言葉、詩編作者は夜空の星を眺め、神と全宇宙の関係について、さまざまな思いを巡らせたことだろう。それは現代の人類も同じで、特にこの4節の言葉は、私たちが、神と全宇宙のことを考えるにもふさわしい言葉。 1969年にアポロ11号が月面着陸したとき、コインに各国の指導者たちの言葉を刻み、月面に置いてきたらしい。 バチカン、つまりローマ教皇の選んだ言葉として、この詩編8編の言葉が刻んであるそうだ。
5節は、とてつもない広い天、全宇宙にあって、この地に人間を創って、主が人間に心を留めてくださっている驚き。 いったい人間とは何者?
6-9節には、この地において、神が人類を信頼して任せていること。 それは、創世記1章26節にも書かれていたこと。とくに20世紀の後半になって、人類自身の行為により、生態系が侵されつつあることに気づきはじめた。 それは一体わたしたちにどのようなことを示唆しているのだろうか。
この詩編8編の言葉を繰り返し読むなかで、神は現代の人類に、将来の何世代にも渡って、神の創造された生態系を維持管理していく責任を授けられていると感じる。