June 11th, 2013

2013年6月9日聖霊降臨後第3主日聖餐礼拝説教「医療の進歩にも神への感謝を」安達均牧師

牧師説教, by admin1.

「医療の進歩にも神への感謝を」 ルカ7:11-17 牧師 安達均

江戸時代の平均寿命は何歳位だったかご存知だろうか??? 20歳代だった。25歳くらいとも言われている。 5歳までに亡くなる乳幼児死亡率が高く、40%とか50%とも言われており、その結果、現代に比べ平均寿命は極端に短かった。 
江戸時代の終わりから明治時代にかけて、1850年から1900年の間、いわゆる西洋医療の導入に伴い、乳幼児死亡率は激減していった。 40%位だったものが10%程度にまでなってきた。 従って1880年代には、平均寿命は30歳代を超え、1990年には40代を超えるということが起こっていった。 つまり明治時代において、大変な医療の進歩が起こりはじめた。 
みなさんの中に、5歳未満で大病したことのある方、或いは大病になるところだったという方が沢山いると思う。 といっても良い治療を受けるなり、予防接種などで、大病にならないで、済んだ方が殆どだと思う。私の場合は、祖父が結核で1960年に亡くなって、私は2歳で結核になっていたようだが、良い医療のおかげで、大事にはいたらなかった。 
さて今日の聖書箇所、イエスが弟子たちと多くの群集とともに、ナインという町に入って行こうとした。 すると、ある未亡人が一人息子を失い、そのお棺が担ぎ出されるところで、大勢の人がそこに付き添っていた。 
聖書によれば、その未亡人は信仰深い人だったとは書いていないが、イエスはその未亡人を見て、「憐れに思った、」と書いてある。 この憐れという言葉にちょっと注目してみたいと思う。 「憐れに思う」ってどういうことだろう? 
日本語で簡単に言うなら、「かわいそうに思う。」ということかもしれない。 しかし、かわいそうに思うと言ってしまうと、「頭の中だけでそう思う。」という感覚に近いのではないだろうか?
憐れむという言葉は、ギリシャ語では、「スプランクニゾマイ」という言葉が使われている。 スプランクというのは、内臓のこと。 ニゾマイという言葉がついて動詞になり、不憫に思って内臓がちくちく痛んでくるということ。
イエスはその一人息子を亡くした未亡人を見て、憐れんだということは、内臓がちくちく痛むくらいかわいそうに思うという状況になり、イエスは心の底から、その未亡人のことをなんとかしてあげたいという気持ちになったということ。 
そこで、そのまますれ違わずに、イエスはお棺に触って、「若者よ、あなたに言う。起きなさい。」と言われ、その通り、若者は起き上がって、さらに話し始めた。 
イエスが起こした奇跡のひとつが今日の聖書箇所に記述されている。 イエスはこのような奇跡をほかの場面でも起こしているが、実は、弟子たちも、後に、イエスと同じようなことを出来るようになる。 イエスの死と復活後、聖霊降臨後に、弟子たちが、起こした奇跡は、聖書に記述されている。  
聖書に書かれたこのような話は、現代の私たちに何を語っているのだろうか? 私は、日本において、赤ちゃんが生まれても、5歳までの間に40%も亡くなってしまう状況は、イエスは不憫に思われていたのではないかと思う。そして、イエス・キリストの体を成すクリスチャンが、日本にも奇跡を持たらしたように思う。 明治時代に、多くの人々が医者になり、また、クリスチャンになっていった。
10年前に大正生まれの医師と話していたら、彼は明治時代の医者のことをよく知っており、彼が若かったころ、明治時代に医者になった人々を知る限り、半分くらいはクリスチャンでもあったと言っていた。 
そのような医者たちの努力、祈り、神の憐れみによって、乳幼児死亡率は40%から10%にまで激減した。 さらに乳幼児死亡率は減って、今では0.5%にまで下がってきている。 このようなことも私は奇跡なのだと思う。 
冒頭で述べたように、私は2歳で結核になっているが、今では、なにもなかったように、元気に生活して、神の御言葉をこのように伝えることができる。 このようなことができる裏には、神が私の母を憐れんで、58歳だった父を亡くすだけではなく、この幼子まで命を落とすのは余りにもかわいそうだと、憐れんでくださり、結核から解放してくださったように思う。 
一人一人、神の祝福をいただき、私たちは生きることができ、そして、今日もこのように礼拝に参加している。 すべての神の配慮、祝福を認識できるかどうかにかかわらず、神は私たちを憐れんでくださっている。 
私たちの存在があるのは、神の憐れみが私たち一人一人に働いているからであることを覚えよう。 私たちに、精神的にも肉体にもさまざまな困難や痛みがあるとき、イエス・キリストも実はその困難や痛みを共有してくださり、解放のため、もっとも良き道へ導いてくださっている。 その困難や痛みからの解放のため、キリストの体である多くのクリスチャンがかかわってきた、生物学や医学、さらに医療の進歩という神からの恵みにも感謝を捧げ、神を賛美しよう。 

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