December 19th, 2013

2013年12月19日 詩編を読もう:神無しでは済まされない (詩編80 編) 牧師:安達均

詩編を読もう, by admin1.

今週は与えられている詩編は80編の1-8節と18-20節を読もう。今週も最初にできる限りこの詩編作者を想像しながら詩を味わってみよう。次に、待降節にあって、主の降誕と再臨を覚えながら、神はこの詩編を通して現代を生きる私たちに何を語っているか黙想してみたい。  
  
詩編80編
1: 【指揮者によって。「ゆり」に合わせて。定め。アサフの詩。賛歌。】
2:イスラエルを養う方/ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ/御耳を傾けてください。ケルビムの上に座し、顕現してください
3:エフライム、ベニヤミン、マナセの前に。目覚めて御力を振るい/わたしたちを救うために来てください。
4:神よ、わたしたちを連れ帰り/御顔の光を輝かせ/わたしたちをお救いください。
5:万軍の神、主よ、あなたの民は祈っています。いつまで怒りの煙をはき続けられるのですか。
6:あなたは涙のパンをわたしたちに食べさせ/なお、三倍の涙を飲ませられます。
7:わたしたちは近隣の民のいさかいの的とされ/敵はそれを嘲笑います。
8:万軍の神よ、わたしたちを連れ帰り/御顔の光を輝かせ/わたしたちをお救いください。

18:御手があなたの右に立つ人の上にあり/御自分のために強められた/人の子の上にありますように。
19:わたしたちはあなたを離れません。命を得させ、御名を呼ばせてください。
20:万軍の神、主よ、わたしたちを連れ帰り/御顔の光を輝かせ/わたしたちをお救いください。

今週の詩編もだれが作者であるか断言はできないし、時代も明確ではない。まず2節にある「顕現してください。」、3節にある「来てください。」という願い、さらに、5-7節に書かれている言葉から想定すると、詩編作者が属する国、イスラエルの民が、とんでもないピンチに陥っていることが考えられる。4節、8節、12節の言葉は、ほぼ同じ言葉が繰り返されているが、なかでも「わたしたちを連れ帰り」という表現からして、どこかほかの国へ民全員が捕囚されてしまっているような状態なのかもしれない。そのような状況のなかで、18節の言葉から考えると、神と同等の方が力をもって救い出してくださらないとならない状況を訴えているように思う。 そして、19節では、神への忠誠心を誓っているように思える。 

4節、8節、20節で、3回も繰り返されている言葉の中で、「御顔の光を輝かせ」という言葉がある。 毎週の礼拝は、派遣の讃美歌を歌って終わるが、その前にいつも、「祝祷」がある。 祝祷では、
「主があなたを祝福し、あなたを守られます。
 主の御顔があなたに輝き、あなたに恵みを与えます。
 主が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えます。」
という言葉が語られている。 詩編80編のなかで「御顔の光を輝かせ」という言葉と近い言葉が祝祷の中でも使われていることからして、そもそも「御顔の光を輝かせ」や「御顔があなたに輝く」や「御顔をあなたに向け」が、主が民に親密であり、主が近くにいてくださる状況を詩編80編では乞い願っているように思う。 

以下は、この80編を私たちが21世紀に読むことを通して、神がわたしたちに何を語ってくださっているかを考えたい。詩編の80編の大きなテーマは、「神にすぐに来てください。顕れてください。」と言ってよいと思うが、作詞された時代と現代とで、「神にすぐに来てください。」という緊急性の違いがあるかどうかということを考えた。 現代にあって、宗教を避けようとする機運が高まっているように感じる。そのような世間情勢は、ある意味、「神様なんて来ていただかなくていいんですよ。」という社会的風潮を感じる。 しかし、本当にそうなのだろうか。しかし、実際問題、人類が自らの努力とか知恵だけでは全く解決できない問題にたくさん遭遇している。もう三年近く前になるが、東日本大震災、また最近のフィリピンの台風やアメリカ各地でおこる竜巻などの自然災害などはもちろん、アメリカの債務が天文学的な数字になってしまっていることや、日本もそのGDPからすればとてつもない債務になっていて、解決策があるとは思いがたい。また諸国間の外交問題も不協和音が響いているように思う。世界的に大きなピンチに陥っているように思う。そこで、礼拝堂で協和している和音を聞き、神に祷り、神にすぐに来てくださいと歌うように、詩編80編が招いているように思う。 復活ルーテル教会の聖餐式で、よく「マラナタ」を歌うが、その意味は、「主よ、来てください。」 アーメン。

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