四旬節に入って、三週間が過ぎた。主なるお方、救い主イエスキリストに向いて日々の生活を歩むことができるように祈る。今週は詩編81編を読む。やはり四旬節にふさわしい詩編だと思う。少々長いが、なるべく3回は読んでみてはどうだろうか。そして一回目は気になる言葉や節はなにか? 二回目は、詩編の作者の気持ちになってどのようなことを詠っているのか、よく考えてみよう。そして三回目は、神はこの詩編81編を通して何を語りかけているか思いを巡らせよう。
詩編81編
1:【指揮者によって。ギティトに合わせて。アサフの詩。】
2:わたしたちの力の神に向かって喜び歌い/ヤコブの神に向かって喜びの叫びをあげよ。
3:ほめ歌を高くうたい、太鼓を打ち鳴らし/琴と竪琴を美しく奏でよ。
4:角笛を吹き鳴らせ/新月、満月、わたしたちの祭りの日に。
5:これはイスラエルに対する掟/ヤコブの神が命じられたこと。
6:エジプトの地を攻められたとき/ヨセフに授けられた定め。わたしは思いがけない言葉を聞くことになった。
7:「わたしが、彼の肩の重荷を除き/籠を手から取り去る。
8:わたしは苦難の中から呼び求めるあなたを救い/雷鳴に隠れてあなたに答え/メリバの水のほとりであなたを試した。〔セラ
9:わたしの民よ、聞け、あなたに定めを授ける。イスラエルよ、わたしに聞き従え。
10:あなたの中に異国の神があってはならない。あなたは異教の神にひれ伏してはならない。
11:わたしが、あなたの神、主。あなたをエジプトの地から導き上った神。口を広く開けよ、わたしはそれを満たそう。
12:しかし、わたしの民はわたしの声を聞かず/イスラエルはわたしを求めなかった。
13:わたしは頑な心の彼らを突き放し/思いのままに歩かせた。
14:わたしの民がわたしに聞き従い/イスラエルがわたしの道に歩む者であったなら
15:わたしはたちどころに彼らの敵を屈服させ/彼らを苦しめる者の上に手を返すであろうに。」
16:主を憎む者が主に屈服し/この運命が永劫に続くように。
17:主は民を最良の小麦で養ってくださる。「わたしは岩から蜜を滴らせて/あなたを飽かせるであろう。」
気になる言葉としては、12節にある、「しかし、わたしの民はわたしの声を聞かず/イスラエルはわたしを求めなかった。」エジプトからイスラエルへ40年もかかってしまった旅の途中、民はしっかり神の言葉を守れなかった時が何度もあったことを思う。
詩編作者の立場を思う時、先週の詩編と同じように、礼拝を想像しながら詠っているように思える。 2節から6節に詠われている内容は、礼拝への招きの讃美歌を歌っている。そして7節以降は司祭から神の言葉なる説教が詠われているように思えてくる。7節から11節の前半はイスラエルの民に向かって語られている言葉であり、12節以降でイスラエルの民の実態が詠われる。16節で会衆のための祈りが述べられ、17節では神の希望あふれる言葉が与えられる。
この詩編を通して、神が私たちに何を語りかけておられるかを考えてみたい。四旬節にあって、現代の信仰生活においても、私たちは「信仰生活」と呼びながらも、あまり信仰的ではない生活をしてしまっている自分たちに気づかされるような面があると感じる。信仰生活とは疑いや迷いの中で歩むような面がある。しかし、17節の言葉の中に、イースターへの期待、希望、喜びを思わせてくださるような言葉が書かれている。 イースターまであと3週間と少し、十字架に架かる道を歩んでくださったイエスを覚え、そしてイエスは私たちにも十字架を背負って歩くように言われたことを覚え、その意味をよくかみしめる時でありたい。信仰生活は生やさしいものではなく、厳しいが、そこに、希望がある。
アーメン。
安達均