August 14th, 2014

2014年8月14日 詩編を読もう:生まれは神の都エルサレム (詩編87)

詩編を読もう, by admin1.

今週は詩編87編を読む。「詩編を読もう」のコラムに何度か書いて来たが、読んでいる詩編は、次の主日に与えられる福音書個所と関係がある。17日の日曜に与えられている福音書はマタイ14章22-33節で、ユダヤ人ではない異邦人(カナン人)女性と悪霊にひどく苦しめられていた娘が、主イエスによって癒され救われる話である。では、87編を読み、いつものように気になる言葉は何かを挙げる。次に、詩編の作者の気持ちになってどのようなことを詠っているか、よく考える。そして神はこの詩編箇所を通して何を語りかけているか思いを巡らせて行きたい。

詩編87編 
1:【コラの子の詩。賛歌。歌。】聖なる山に基を置き
2:主がヤコブのすべての住まいにまさって愛される/シオンの城門よ。
3:神の都よ/あなたの栄光について人々は語る。〔セラ
4:「わたしはラハブとバビロンの名を/わたしを知る者の名と共に挙げよう。見よ、ペリシテ、ティルス、クシュをも/この都で生まれた、と書こう。
5:シオンについて、人々は言うであろう/この人もかの人もこの都で生まれた、と。」いと高き神御自身がこれを固く定められる。
6:主は諸国の民を数え、書き記される/この都で生まれた者、と。〔セラ
7:歌う者も踊る者も共に言う/「わたしの源はすべてあなたの中にある」と。

気になる言葉や節はなんだろう? 私の場合は、「主は諸国の民を数え、書き記される/この都で生まれた者、と。」  

詩編作者の立場を思って、今週の詩編を読んでいきたい。おおざっぱには、1-3節までは、エルサレムにある神の栄光が詠われる。4-7節はエルサレムが生まれ故郷である、と宣言する人々の喜びを詠っている。1節に「コラの子の詩」と書いてあるが、コラとはユダヤ教の礼拝で聖歌隊を務めていた人々のことだと思われる。主が定めた聖なる山、エルサレム(シオンの山とも呼ばれる)のことを詠いはじめている(1節)。 ヤコブ(ヤコブの子孫たち、すなわちイスラエルの民全体を指しているのだと思う)が、さまざまな理由で、エルサレムではない土地にも住むようになっているが、主なる神が、何よりも愛されるシオンの城門(エルサレム)よ、(2節)。神の都(エルサレム)よ、主の栄光について人々は次のように語ることでしょう(3節)。 「主なる神は、ラハブ(イスラエルの民が400年奴隷として仕えていたエジプトのことを指している)と、バビロン(イスラエルの民が紀元前6世紀に捕囚された土地)で生まれた者たちも、主の民として挙げる。 さらにはペリシテ、ティルス、クシュ(当時のイスラエル周辺諸国で、イスラエルからすれば、諸外国)で生まれた者たちも、聖なる山(シオン、エルサレム、聖なる都)で生まれた、と記録される。」(4節) シオン(聖なる都)について、人々は語るであろう、「この人もあの人もこの都で生まれた。」とし、いと高き神がそれを確かなこととして定められる(5節)。主なる神は、諸外国で生まれた者を数え、皆エルサレムで生まれた者とされる(6節)。礼拝や祭りで、歌う者も踊る者も、いっしょに賛美する、「わたしたちの源は、すべて主の中にある」と(7節)。

この詩編箇所を通して、主なる神は現代の私たちに何を語っているのか、思いを巡らせてみたい。詩編87編は多分に預言的要素を含んでいる詩編のように感じる。3節から5節で詠われている内容は、ユダヤ民族だが、さまざまな歴史的背景からエジプト、バビロン、ペリシテ、ティルス、クシュ等々の諸外国で生まれたユダヤ人がいたことは確かで、その者たちも含めて、聖なる都、エルサレムで生まれたユダヤ人として、主なる神が認めてくださることを詠っているようだ。しかし、6節に入って、その範囲がずっと広がって行くように感じる。6節の「諸国の民」とは、諸国にいるユダヤ民族だけではなく、諸国にいる異邦人も含めて、すべての民が、エルサレムで生まれた民、主なる神としての扱いを受ける、すなわち、主イエスからの慈しみを受け、救われることが、紀元前から預言され、詠われていたように思う。福音書に残された事実として、主イエスを救い主として受け入れ始めたのは、サマリアの女(ヨハネ4章)であったり、17日の福音書個所にある、カナン人の女性である。また紀元後の世界を見ると、ユダヤ人以外の世界各国の民が、主イエスを救い主と受け入れ、主イエスからの、とてつもない豊かな恵みを受けつつ、救い主なるイエスを賛美し、主にある喜びの中に生きている時代が訪れてきている。復活ルーテル教会に集う私たちもその中にある。 そのようなできごとは、史実であり、主なる神、イエスによる導きの中で起こっている。栄光は主に! アーメン
安達均

Back Top

Comments are closed.