January 8th, 2015

2015年1月8日 詩編を読もう:右の座に就く (詩編110)

詩編を読もう, by admin1.

聖書日課では8日から11日に与えられている詩編は29編となっているが、昨年の今頃にも取り上げた詩編なので、今週は5日と7日に聖書日課で与えられていた詩編110編を読みたい。 短い詩編なので、何回か繰り返して読んでから、気になる言葉、印象の強い言葉を挙げる。 その後、詩編作者のことを創造しながら、どういうことを詠っているのか各節を読む。そして、現代の私たちに何を語りかけているのか考えたい。とくに1月6日は顕現日といって、主イエスがユダヤの民からではなく、異邦人だった東方の国の占星術者たちが、降誕後まもない主イエスを拝んだことを記念する日だった。 そのことからはじまって、2000年の歴史を経て、全世界の異邦人(ユダヤ人以外の民:約70億人)の三分の一以上(約20億)がキリスト教の信仰者となっている。 そのような現代に生きる私たちに、この詩編110編を通して、神が語りかけていることはどういうことなのか思いを巡らせたい。
 
詩編 110編
1: 【ダビデの詩。賛歌。】わが主に賜った主の御言葉。「わたしの右の座に就くがよい。わたしはあなたの敵をあなたの足台としよう。」
2:主はあなたの力ある杖をシオンから伸ばされる。敵のただ中で支配せよ。
3:あなたの民は進んであなたを迎える/聖なる方の輝きを帯びてあなたの力が現れ/曙の胎から若さの露があなたに降るとき。
4:主は誓い、思い返されることはない。「わたしの言葉に従って/あなたはとこしえの祭司/メルキゼデク(わたしの正しい王)。」
5:主はあなたの右に立ち/怒りの日に諸王を撃たれる。
6:主は諸国を裁き、頭となる者を撃ち/広大な地をしかばねで覆われる。
7:彼はその道にあって、大河から水を飲み/頭を高く上げる。

印象に残る言葉としては「わたしの右の座」という言葉。礼拝で毎週、使徒信条のなかでは「全能の父なる神の右に座したまえり。」と唱えているし、マタイ26:64をはじめ、ルカ、マルコ、エフェソ、コロサイ、ヘブライなどでも、「右の座」は引用されている。  

さて詩編作者の立場を思って詩編110編を読んでいきたいが、作者は1節に「わが主に賜った主の御言葉」と書いており、「わが主」というのは、ダビデのことで、「主の御言葉」の「主」は全能の神のことだと思われる。 なので、ダビデに仕えていたものが、ダビデが天啓を受けて聞いた言葉を聞き、その言葉が語り継がれて詩編の一つになったのかと思われる。そして、110編は前半(1-3節)と後半(4-7節)に分かれており、前半は、神がダビデに語った、いわば任命の言葉。後半は、ダビデに語った、神の誓いといえるのではないだろうか。 神はダビデに、自分の右の座、つまり神の右腕のような存在、アシスタント、となるように、そしてダビデに敵対する者さえも足台にする(1節)。 神はダビデの権力をシオン(エルサレム)から拡張し強めて、ダビデに敵対する国々をも支配するようにする(2節)。 歴史を振り返るなら、ダビデがイスラエルの南北(南のユダと北のイスラエル)を統合し治めたように、政治的手腕を神が与え、政治的権力が強められた。3節に入ってくると、当時の詩編作者がどういうことをイメージして詠ったのか、明確な意味はよくわからない。 そして、後半の神の誓いになってきて、神はダビデ(とその子孫)を神の言葉に従って永遠の祭司(メルキゼテク)とする(4節)。 主はダビデの右に立ち、諸国の王たちを撃つ・倒す(5節)。 神は諸国を裁き、出るものを撃ち、広大な土地が屍で覆われるようなことすら起こる(6節)。 7節になってくると、3節同様、明確な意味はとらえがたくなってくる。 

さて、紀元前数百年前に詠われ始めた詩編110編を通して、紀元後2000年経った、現代に生きる私たちに、神が何を語りかけているかを考えるとき、その意味はぐっと広がるようで、また救い主イエスにフォーカスされてくるようだ。 上記では、1節の「わが主」はダビデに仕えるものが、ダビデのことをわが主であると考え、ダビデの政治的にも宗教的にも優れた指導力のことを想像したが、「わが主」とは、主イエスキリストのことが詠われていると思える。そして、顕現日にその発端をおく主イエスの全世界統治は、2000年たった今も途上であるが、確実に進んでいることを覚える。3節後半や7節が表現していることも、今後の歴史的な進展・変革の中で、明らかになってくるような時代が来るのではないかと思う。 そのような歴史の途上に、主イエスがすべての民を、困難、貧困、悩み苦しみのなかにある状態から希望、解放、喜びへと導き続けており、その宣教の業に、私たち一人一人が置かれていることを覚える。
安達均

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