今週は聖書日課に従って、詩編22編25節から22編の最後までを読む。「えっ、また22編?」と思われる方もいるかもしれない。というのは、「詩編を読もう」では、今年の四旬節の間に、2回も22編をとりあげたから。しかし、復活節にあって新たな気持ちで、この詩編箇所を読んでいきたい。来る日曜日は復活後第五主日となる。福音書は、イエスが「わたしはまことのぶどうの木」といわれ、ご自分を「真理なるぶどうの木」にたとえ、また弟子たちを「ぶどうの枝」にたとえられた話を読む。そのたとえ話を思い浮かべつつ、この詩編箇所を新たな気持ちで読むのも良い。そして、いつものように気になる言葉や節はなにか? 次に、詩編作者の気持ちになってどのようなことを詠っているのか、よく考えてみよう。最後に神はこの詩編22編を通して何を語りかけているか思いを巡らせよう。
詩編 22編
25:主は貧しい人の苦しみを/決して侮らず、さげすまれません。御顔を隠すことなく/助けを求める叫びを聞いてくださいます。
26:それゆえ、わたしは大いなる集会で/あなたに賛美をささげ/神を畏れる人々の前で満願の献げ物をささげます。
27:貧しい人は食べて満ち足り/主を尋ね求める人は主を賛美します。いつまでも健やかな命が与えられますように。
28:地の果てまで/すべての人が主を認め、御もとに立ち帰り/国々の民が御前にひれ伏しますように。
29:王権は主にあり、主は国々を治められます。
30:命に溢れてこの地に住む者はことごとく/主にひれ伏し/塵に下った者もすべて御前に身を屈めます。わたしの魂は必ず命を得
31‐32:子孫は神に仕え/主のことを来るべき代に語り伝え/成し遂げてくださった恵みの御業を/民の末に告げ知らせるでしょう。
気になる言葉や節はなんだろう? 私の場合は、26節にある大いなる礼拝のなかで「神を畏れる」人々が集まっている様子。
さて、過去に読んだ22編のことにとらわれず、新たに詩編作者の立場を思って詩編22編を読む。主は貧しい人の状況を見下してしまうようなことはなさらず、また助けを求める叫びを聞けば、聞こえぬふりなどなさらず真剣に御顔を向けて聞いてくださる(25節)。だから、神を畏れる人々が集まる大きな集会にて、私は主を賛美して、満願の捧げ物を捧げる(26節)。飢えていたものは食べて満ちたり、主を求めた者が賛美し、主の御心がわたしたちの中に永遠にやどるように祈る(27節)。地のはてまで、この地に存在するすべての人が主を覚え、主に向き直り、国々に行き渡る主の民が、主にひれ伏すように(28節)。御国は主が権利を持っており、すべての国々は主が治めている(29節)。この地で満ち足りたものも皆、主を拝み、また塵となってしまった者も主の御前でひれ伏し、自分の命ではなく主の命、蘇りの命が与えられる(30節)。来る世代の人々も主に仕えて、その次の世代に主のことを語り伝え、代々、主が成し遂げた恵みの御業が継承されていく(31-32節)。
この詩編22編のこの聖書箇所を通して、主なる神は何を現代の私たちに語りかけておられるのだろうか? 復活節とは言うものの、世間を見回すと、ネパールでは大地震が起き数千人の方が亡くなっている。ボルチモアでは、またもや人種差別と思われる行動がひきがねとなっているようだが、暴動が起きている。安部首相が今週前半はボストン、ワシントンを訪問し、見事な議会演説をされたようだが、かたや中国や韓国から安部首相への歴史認識に関する激しい非難が寄せられており不気味にさえ思える。一市民にはとてもコントロールできかねるような問題が、またかまたかと繰り返し起こっているような気もしないでもない。このような状況の中で、復活された神がおられるなら、なんでこんな悲しい事件や悲惨な歴史は繰り返し起こるのかと、神様に文句を言いたくなるような気持ちが起こっても仕方がないような気がする。しかし、詩編22編の言葉の中で、主なる神が、わたしたち被造物である人類、つまり神によって創られた一人一人が、どう対応したらよいかという鍵が含まれているように思う。26節にある主を畏れる民として集まり、主を賛美して、満願の捧げ物を捧げる状態を、主が望んでおられることを覚えたい。キリスト教徒は20億人とも25億人とも言われるが、まだまだ復活の主の働きを認めず、そっぽを向いて我が物顔にこの地を歩む者がいて、大きな失敗を経験する。あるいはキリスト教徒といえども、迷える羊となり、主から離れて行動してしまう。 だから毎週毎週、復活の日曜には主のもとに立ち返り讃美歌を歌い、反省する。こんどの日曜であれば「私は真理なるぶどうの木であり、人間はその枝でる。」という本来ならきってもきれない関係にあるという主のみ言葉が与えられる。十分の一の捧げ物をし、主なる神からあらたなる祝福をうけて世に送り出される。そのような生活を全人類が歩めますように!アーメン
安達均