July 23rd, 2015

2015年7月23日 詩編を読もう:創造主に感謝して (詩編145編10—18節)

詩編を読もう, by admin1.

今週は7月23日から26日の聖書日課に与えられている詩編145編10-18節を読もう。145編は、読んだ節は多少づれているが、「詩編を読もう」では過去3回とりあげている。26日の聖日に与えられている福音書箇所が、イエスの5000人への給食の場面で、その様子を想像しながらこの詩編を読むと、また新たな視点が与えられると思う。 いつものように、まず気になった箇所、あるいはインパクトのあった言葉や節は何かを挙げる。次に、詩編作者の気持ちになってどのようなことを詠っているか、よく考える。そして神はこの詩編箇所を通して現代のわたしたちに何を語りかけているか思いを巡らせよう。

詩編 145編
10: 主よ、造られたものがすべて、あなたに感謝し/あなたの慈しみに生きる人があなたをたたえ
11:あなたの主権の栄光を告げ/力強い御業について語りますように。
12:その力強い御業と栄光を/主権の輝きを、人の子らに示しますように。
13:あなたの主権はとこしえの主権/あなたの統治は代々に。
14:主は倒れようとする人をひとりひとり支え/うずくまっている人を起こしてくださいます。
15:ものみながあなたに目を注いで待ち望むと/あなたはときに応じて食べ物をくださいます。
16:すべて命あるものに向かって御手を開き/望みを満足させてくださいます。
17:主の道はことごとく正しく/御業は慈しみを示しています。
18:主を呼ぶ人すべてに近くいまし/まことをもって呼ぶ人すべてに近くいまし

インパクトのある言葉として、「ときに応じて食べ物をくださいます。」という言葉。 

詩編145編は、詩編最後の139編から150編までの12編の連続している賛歌の中盤にある。その中でも20節ある145編のなかほどから後半にかけての詩編箇所。 賛歌に歌われる内容は、大きく三つに分けることができ、詩編作者が主を賛美する箇所、詩編作者が自分だけでなく人々が賛美するように願う箇所、そして、賛美する理由。 与えられた箇所は、「願い」と「理由」に分類される。そのようなことを念頭におき、一節づつ振り返る。 主が創造され主の慈しみに生きる者すべてが、あなたに感謝し主を讃えますように(10節:願い)。主権は主にあり、その栄光を告げ、力強い御業を語るように(11節:願い)。さらにその御業と栄光、主権の輝きを、次世代にも伝えますように(12節:願い)。あなたの主権は永遠であり、世々限りなく続く(13節:理由)。主はたおれそうな人を支え、うずくまっている人を起こしてくださる(14節:理由)。人々が主に目を注いで待ち望むと、あなたは時に応じて食べ物をくださる(15節:理由)。主は命あるものすべてに御手を開いて、望みを満足させてくださる(16節:理由)。主に従う道はずっと正しく、主の御業に慈しみが顕われている(17節:理由)。誠意をもって主の御名を呼ぶ人すべての近くに居てくださる(18節:理由)。

今日、この詩編145編10-18節を通して、主なる神は、私たちに何を語っているのだろうか。詩編作者は、二千数百年前の当時のユダヤ人だけではなく、この地に命を与えられたすべての人間が、後世にわたって、主を賛美するように、と歌った。 それは、当時のユダヤ教だけではなく、ユダヤ教を引き継いで世界中に浸透したキリスト教も、そしてイスラム教をも通じて、さらには、世界中にある数え切れないほどの宗教をも通じ、あるいは宗教という枠を超えて、世界中に命を賜ったさまざまな思想家や教育者をも通じて、命を与えてくださる創造主を敬い賛美するように、ということを呼びかけられているよう思える。 なぜ主を賛美するかという理由が、与えられた詩編箇所の後半に書いてあるが、この詩編が詠われ始めた後、数百年経ってから、イエスが5000人もの人々に5つのパンと二尾の魚から食物を与えたような奇跡がおこったから。しかし、それだけが奇跡ではなく、現代、この地球上に70億人もの命が生き、天の恵みを分ち合って生きていることも、奇跡的なことで、創造主が人類を愛し憐れんでくださっているからなのだと思う。 その70億人が、争うことなく、平安の中で、創造主なるお方に感謝し、賛美して生きることの大切さ、そのことを人々に言い広めるように、この詩編145編10-18節は、私たちに導いているのではないだろうか。19世紀の幕末から明治維新を生きた、日本の武士、蘭学者、著述家、啓蒙思想家、教育者、そして慶應義塾の創設者でもある福沢諭吉は、アングリカンチャーチ(日本では後に聖公会)のキリスト教宣教師(慶応義塾の英語教師)たちから大きな影響を受けていたと思われるが、自分の子供たちに、「てんとうさまをおそれ、これをうやまい、そのこころにしたがうべし。 ただし、ここにいふてんとうさまとは、にちりん(日輪)のことにはあらず。 西洋のことばにてごっど(GOD)といひ、にほんのことばにほんやくすれば、ぞうぶつしゃ(造物者)といふものなり。」という言葉を残している。
アーメン
安達均

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