歩道橋クロスと花は捧げられ癒しを祈るか大事故の場に 山本民子
雨のなき歩道の血の跡なお残り逝きたる人の哀しさ写す
美しき声は神のみ恵みと神のため歌いしパバロテイ主の元に逝かん
復活祭雲ひとつなき青空に気高く咲けり白百合の花
白百合の美しき香りは部屋に満ち主の復活は心に生きる
過ぎ越しの食事の準備の明け暮れに想いを馳せるユダヤの土地に
過ぎ越しは二千年前にも人々を受け入れ招く罪ありてこそ
凄まじき津波の被害を耐え忍ぶ母国の民を誇る毎日
聖堂に讃美歌高く響きくる朝日の中の復活礼拝 鹿島広子
聖堂に天使の歌声愛いらしく友となか良く微笑み合えり
我が友はさよなら告げず召されたり無邪気な孫に涙さそわる
薄命の友に手向けるカーネーション遺影の笑顔は涙を誘う
大津波一瞬にしてのみ込みし尊き命思いておりぬ
冬の朝赤くうるみし空見上げ今日という日を神に感謝す
アカペラの美(は)しき歌声洩れ出るステントグラスに映える落日 蓑輪愛子
我が友の霊慰めん心より歌う「レクイエム(鎮魂歌)」厳かにして
白百合とバラで飾りし十字架の凜として立つ復活の朝
「ハレルヤ」と声高らかに歌いつつ 平和を祈る復活の朝
声合わせ「歓喜の合唱」歌いあげ満足感に我酔い知れぬ
復活の朝の目覚めの爽やかさ声も高らに「ハレルヤ」と崇む
震災で召されし義兄の顔写真柔和な笑顔が涙誘う
我が友は生存せしと名前あり電話掛けども応答は無し
恐れつつ寒き夜には身を寄せて泣く児をあやす年若き母 大橋静江
幸せは限りなく有り我の日日人の災難見て気付き居り
何を捨て何を残すか迷いいて八十路に近き我の屈託
はらり落つ目の前すぎる枯葉にも過ぎ越し日々の物語あり
喜びも悲しむ時も主と共に祈りの日々は命のみなもと 中内豊子
主を信じすべてを託しやすらかに真理に続く道を歩まん
教え子に先に逝くなと師の言葉友の便りに涙誘わる
白百合に紫添えし花を持ち友訪れ来てイースター祝う