アドベント、待降節、あっという間に第四主日になる感じがする。今年のアドベントの最後の主日を迎えるにあたって、17日から20日までに与えられている詩編箇所80編1-8節をじっくり読もう。 そしていつものように、気になる言葉、あるいはインパクトのあった言葉や節は何かを挙げる。次に、詩編の作者の気持ちになってどのようなことを詠っているか、よく考える。そして神は、現代の私たちに何を語っているのか、思いを巡らせよう。
詩編80編
1: 【指揮者によって。「ゆり」に合わせて。定め。アサフの詩。賛歌。】
2:イスラエルを養う方/ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ/御耳を傾けてください。ケルビムの上に座し、顕現してください
3:エフライム、ベニヤミン、マナセの前に。目覚めて御力を振るい/わたしたちを救うために来てください。
4:神よ、わたしたちを連れ帰り/御顔の光を輝かせ/わたしたちをお救いください。
5:万軍の神、主よ、あなたの民は祈っています。いつまで怒りの煙をはき続けられるのですか。
6:あなたは涙のパンをわたしたちに食べさせ/なお、三倍の涙を飲ませられます。
7:わたしたちは近隣の民のいさかいの的とされ/敵はそれを嘲笑います。
8:万軍の神よ、わたしたちを連れ帰り/御顔の光を輝かせ/わたしたちをお救いください。
気になる言葉、インパクトのある言葉は何だろう? 私にとっては、アドベントにあって、2節3節に使われている「顕現してください」と「来てください」とい言葉。
詩編作者の気持ちを覚えつつ詩編80編を振り返りたい。1節に、< 「ゆり」に合わせて。> と書いてあり、ユダヤ教でゆりの花を飾った礼拝があったのかと思う。80編以外にも、45編、60編、69編でこの言葉が使われている。1節の最後には、「賛歌。アサフの詩。」となっている。アサフとはダビデの時代に音楽隊の中に出てくる名前(歴代上15章16-24節参照)。 ダビデの時代に生きていたアサフが詩編80編を残したのかもしれない。アサフの詩は、詩編の中に12編ある。2節から8節の詩の内容から、時代背景を想像したい。 上述したように、アサフはダビデの時代に生きていた。 ダビデの功績のひとつは、南北イスラエルの統一とよく言われる。イスラエルの民が、南のユダ国と、北のイスラエル国にわかれていたが、それが統一されていったという。 3節には、「エフライム、ベニヤミン、マナセの前に」とあり、これらは、北のイスラエル国に属する部族である。7節の言葉を読むと、「わたしたちは近隣の民のいさかいの的とされ」ということが書かれており、南北間で別れていたばかりではなく、同じ北イスラエルに属していた、エフライム、ベニヤミン、マナセのそれぞれの部族が、近隣の民の間で、対立しあっていたことも想像できる。アサフは、ダビデの指導力が発揮される前の時代から、部族間のいさかいも、また南北統一に向けても、信仰深く、神の力を信じ、顕現してください(2節)、来てください(3節)、御顔の光を輝かせ、わたしたちをお救いください(4、8節)と祈って、この詩編を歌ったのだろう。
さて、この詩編80編1-8節を通して、主なる神は21世紀を生きている私たちに、今日何を語っているだろうか? 私は、待降節にあって、「顕現してください。」「来てください。」と祈るこの詩編はとても、キリスト教の暦のなかで、ふさわしいと、もちろん思う。 そして、神はお考えがあって、この詩編を現代を生きる民に、しっかり読み、詠い、祈るように導いておられるのだと思う。 現代を振り返ると、この地球上で、さまざまな争いが起こってしまっているのは、多くのメディアが伝えるとおり。 中東で、東南アジアで、アフリカで、ヨーロッパで、またアメリカでも、戦争にしろ、テロにしろ、あるいは家族内でのさまざまないざこざにしても。 このような時代に、落ち着いて、「顕現してください。」「来てください。」と主の到来を祈る、いろいろな意味で、私たち人類が壊してしまっている、この地球上の混沌とした破壊的ともいえるような状況から、この人類を救いだしてください。と祈ることが大切なのだろう。 その信仰が、すべての源にあるのではないだろうか? クリスマスの意味をしっかり覚える時となりますように!
安達均